洗濯物をぶつけたら皇太子の溺愛が始まりました
昼の陽射しが、石畳を白く照らしていた。

洗濯物を入れた桶を抱えながら、私は中庭を横切る。

水を運ぶだけの、いつもと変わらない仕事。

それなのに――

「……ここ、通るんだった」

足が、わずかに止まる。

鍛錬場。

金属がぶつかる乾いた音が、空気を震わせていた。

かん、と高い音が響くたび、胸の奥まで揺さぶられる。

見てはいけない。

そう思いながらも、視線は自然と引き寄せられてしまう。

「……ルークレイン様」

いた。中央で剣を構え、対峙しているその姿。

無駄のない動きで振るわれる剣は、まるで舞のように美しい。

踏み込む足。しなやかに翻る衣。

すべてが、洗練されている。

「……すごい」

思わず、足が止まる。

汗が額を伝い、首筋を滑り落ちる。
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