洗濯物をぶつけたら皇太子の溺愛が始まりました
その一滴すら、目を奪われるほどだった。

「ルークレイン様……汗が飛び散って、素敵……」

はっとして、口元を押さえる。

何を言っているのだろう、自分は。

こんな言葉、誰かに聞かれたら――

「……馬鹿」

小さく呟く。

けれど、目は逸らせない。

剣を受け止め、弾き、切り返す。

その一連の動きに、息を呑む。

ただ強いだけじゃない。

ただ美しいだけでもない。

その両方を持っているからこそ、目が離せない。

「ああ……」

胸が、締めつけられる。

どうしてこんな気持ちになるのか、分からない。

「……あんな方に、抱きしめられたら」

ぽつりと、零れた言葉。

自分でも信じられないほど、素直な願い。

すぐに首を振る。

「何考えてるの……」

あり得るはずがない。

あの人は、皇太子。私は、ただの洗濯婦。
< 5 / 24 >

この作品をシェア

pagetop