洗濯物をぶつけたら皇太子の溺愛が始まりました
午後の陽射しはやわらかく、洗濯場には穏やかな風が流れていた。

私は、濡れたシーツを丁寧に広げながら、木枠に掛けていく。

水を含んだ布は重く、腕にじんとした疲れが残る。

それでも、規則的な作業は嫌いではなかった。

何も考えずに手を動かしていれば、余計なことを忘れられるから。

「これも、あと少し……」

そう呟いた、その時だった。

「きゃあああっ!」

甲高い声が、洗濯場に響いた。

びくりと肩を揺らし、思わず振り返る。

「な、何……?」

同僚たちが一斉に、同じ方向を見ている。

その先――回廊。

フィアナの視線も、つられるようにそちらへ向かう。

「あ……」

いた。ルークレイン様。

昼と同じ、無駄のない姿勢で歩いている。

けれど今度は、こちらの方へ視線を向けていた。

胸が、どくん、と大きく鳴る。
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