洗濯物をぶつけたら皇太子の溺愛が始まりました
「今、見たよね!?絶対こっち見た!」

「違うわよ、私に決まってるでしょ!」

「えー?あの距離で分かるの?」

同僚たちが、きゃあきゃあと騒ぎ始める。

頬を押さえたり、手を振ったり。

誰もが、自分に向けられた視線だと信じて疑わない。

「ほら、今も……!」

誰かがそう言った瞬間。

ルークレイン様の手が、わずかに動いた。

ひらり、と。

まるで――手を振るように。

「きゃあああっ!!」

一層大きな歓声が上がる。

「ほら!やっぱり私よ!」

「違うってば、私に決まってるじゃない!」

「さっき目合ったし!」

口々に言い合う声が、耳に響く。

私は、その場に立ち尽くしたまま、動けなかった。

(……今の)

確かに、見えた。

あの手の動き。

けれど――

「……そんなわけ、ない」
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