同期の御曹司社長と一夜を過ごしたら仕事中も溺愛されています
「やっとって……」

思わず問い返すと、蒼はほんの少しだけ目を細めた。

「どれだけ我慢してたと思ってる」

低く落ちたその一言に、胸の奥が強く揺れる。

——我慢してた?

その意味を考える前に、再び抱き寄せられる。

「放しはしない。今夜は……甘い夜になる」

耳元で囁かれる言葉が、熱を帯びて溶けていく。

触れられるたびに、体の奥がじんわりとほどけていく。

さっきまでの戸惑いが、ゆっくりと形を失っていく。

重なった温もりが、まるではちみつみたいに甘くて。

どこまでが自分で、どこからが蒼なのか分からなくなる。

「……はあ……」

思わず漏れた息に、彼の視線が落ちる。

「美桜のその声、ずっと聴いていたい」

優しく囁かれて、逃げる理由がなくなる。

「……蒼」

名前を呼ぶと、彼の腕がさらに強くなる。

体と体の間に、もう隙間はない。

それでも苦しくはなくて、ただ満たされていく。

気づけば、私は自分から彼にしがみついていた。
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