夜だけの恋人
第九話:隣にいるのに
昼休み、スマホが小さく震えた。画面を見ると、直人からのメッセージだった。
『今日、仕事終わるの何時?』一瞬、どうしようかな・・・と迷ってから返事を打ち込む。
「たぶん18時くらいかな」すぐに既読がつく。
『じゃあ少しだけ会えない?』その一文を見た瞬間、少しだけ胸がざわついた。会いたくないわけじゃない。でも、前みたいにすぐに「いいよ」と言えなくなっている自分に気づく。
「うん、わかった。少しなら大丈夫」迷ったけれどそう返した。
仕事が終わって駅に着くと、直人はもう待っていた。
「彩!」笑いながら大きく手を振っている。いつもと変わらない直人の顔を見て少しほっとしながら「待った?ごめん」と駆け寄る。
二人で近くのカフェに入り、注文を済ませたあと、直人が言った。
「ごめんな、なんか忙しかった?」少しドキッとしながら首を振る。
「ううん、大丈夫だよ」おしぼりで手をふきながらそう答える。直人は小さく「そっか」と笑って、さっき注文を済ませたばかりなのにまたメニュー表をめくりだした。
なんとなくしゃべることもなくてお互い黙ったまま少し時間が過ぎた。水を飲みながら、なぜか落ち着かなくてなんとなく店内を見回しながらそわそわしていた。
「あのさ」ふいに直人がしゃべりだした。
「今日、会った時から思ってたんだけど、なんとなく元気なくない?」そう言われて、昨日会社でも同じことを穂香に言われたことを思い出す。
「やっぱり、顔に出ちゃってるんだな・・・」と情けなく思いながら、「そんなことないよー!元気元気!」とわざと明るい表情を作って言った。でも、自分でも元気がないことはわかっている。
「・・・そっか」直人は一言そう言ってから私の顔をまっすぐ見ている。少しだけ真剣な目で。
私は「あーごはんまだかなーお腹すいた!」とわざと明るいテンションで目を逸らしながら言った。また少し沈黙が続く。なんとなく直人の方を見れなくて、店員さんの方ばかりを目で追いかけていた。
「無理してないならいいんだけど」少し横を向きながら、ぼそっと直人が小さくつぶやいた。
「お待たせしましたー!」店員さんが運んで来てくれたパスタを食べながら考えた。
どうして直人は、私が元気ないことにすぐ気づくんだろう。昔からそうだった。馬鹿ばっかりやってふざけていたけど、私が落ち込んでいる時にはいつも隣にいてくれた。
「彩は、元気ない時顔に出るからすぐわかるもんな!」と言って、そばにいてくれていた。今もそうだ。こうやって連絡をくれて会ってくれている。
でも。食後のコーヒーを飲みながら、無意識にチラチラとスマホの方ばかりを見てしまっていた。その視線に気づいたのか、直人がこっちを見て言った。
「あのさ・・・誰かからの連絡待ってる?」その言葉に動きが止まった。
「えっ・・・」思わず声をもらしてから、慌てて取り繕うようにカフェオレを飲む。
「うっ、ううん、別に」そう答えながら、少しだけ嘘をついたような気がして気まずくなってしまう。
「待ってるわけじゃ、ないしな・・・」そう思いながら直人の方を見たけど、直人は何も言わずにアイスコーヒーのストローをいじっている。
今日の直人はいつもと少し雰囲気が違って、いつもより静かだった。
帰り道、夜の空気が少しだけ冷たく感じる。今日も月はきれいだった。
少し前を歩く直人が、歩きながら小さく言った。
「あのさ・・・無理すんなよ」
「うん・・・」すぐに返事をしたけど、胸の中は重たいままだった。
直人はすぐそばにいるのに、私は今ノアのことを考えていて、ノアと話したいと思ってしまっている。そう考えている自分に気づいたとき、自分が少しだけ嫌になった。
『今日、仕事終わるの何時?』一瞬、どうしようかな・・・と迷ってから返事を打ち込む。
「たぶん18時くらいかな」すぐに既読がつく。
『じゃあ少しだけ会えない?』その一文を見た瞬間、少しだけ胸がざわついた。会いたくないわけじゃない。でも、前みたいにすぐに「いいよ」と言えなくなっている自分に気づく。
「うん、わかった。少しなら大丈夫」迷ったけれどそう返した。
仕事が終わって駅に着くと、直人はもう待っていた。
「彩!」笑いながら大きく手を振っている。いつもと変わらない直人の顔を見て少しほっとしながら「待った?ごめん」と駆け寄る。
二人で近くのカフェに入り、注文を済ませたあと、直人が言った。
「ごめんな、なんか忙しかった?」少しドキッとしながら首を振る。
「ううん、大丈夫だよ」おしぼりで手をふきながらそう答える。直人は小さく「そっか」と笑って、さっき注文を済ませたばかりなのにまたメニュー表をめくりだした。
なんとなくしゃべることもなくてお互い黙ったまま少し時間が過ぎた。水を飲みながら、なぜか落ち着かなくてなんとなく店内を見回しながらそわそわしていた。
「あのさ」ふいに直人がしゃべりだした。
「今日、会った時から思ってたんだけど、なんとなく元気なくない?」そう言われて、昨日会社でも同じことを穂香に言われたことを思い出す。
「やっぱり、顔に出ちゃってるんだな・・・」と情けなく思いながら、「そんなことないよー!元気元気!」とわざと明るい表情を作って言った。でも、自分でも元気がないことはわかっている。
「・・・そっか」直人は一言そう言ってから私の顔をまっすぐ見ている。少しだけ真剣な目で。
私は「あーごはんまだかなーお腹すいた!」とわざと明るいテンションで目を逸らしながら言った。また少し沈黙が続く。なんとなく直人の方を見れなくて、店員さんの方ばかりを目で追いかけていた。
「無理してないならいいんだけど」少し横を向きながら、ぼそっと直人が小さくつぶやいた。
「お待たせしましたー!」店員さんが運んで来てくれたパスタを食べながら考えた。
どうして直人は、私が元気ないことにすぐ気づくんだろう。昔からそうだった。馬鹿ばっかりやってふざけていたけど、私が落ち込んでいる時にはいつも隣にいてくれた。
「彩は、元気ない時顔に出るからすぐわかるもんな!」と言って、そばにいてくれていた。今もそうだ。こうやって連絡をくれて会ってくれている。
でも。食後のコーヒーを飲みながら、無意識にチラチラとスマホの方ばかりを見てしまっていた。その視線に気づいたのか、直人がこっちを見て言った。
「あのさ・・・誰かからの連絡待ってる?」その言葉に動きが止まった。
「えっ・・・」思わず声をもらしてから、慌てて取り繕うようにカフェオレを飲む。
「うっ、ううん、別に」そう答えながら、少しだけ嘘をついたような気がして気まずくなってしまう。
「待ってるわけじゃ、ないしな・・・」そう思いながら直人の方を見たけど、直人は何も言わずにアイスコーヒーのストローをいじっている。
今日の直人はいつもと少し雰囲気が違って、いつもより静かだった。
帰り道、夜の空気が少しだけ冷たく感じる。今日も月はきれいだった。
少し前を歩く直人が、歩きながら小さく言った。
「あのさ・・・無理すんなよ」
「うん・・・」すぐに返事をしたけど、胸の中は重たいままだった。
直人はすぐそばにいるのに、私は今ノアのことを考えていて、ノアと話したいと思ってしまっている。そう考えている自分に気づいたとき、自分が少しだけ嫌になった。