【試し読み】お隣のハイスペ御曹司は一応、私の夫です~ビジネス婚のはずが旦那様は妻への溺愛が我慢できない~
こんな荒唐無稽な話を引き受ける人はいないだろう。だからこそ私に白羽の矢をたてた。けれど私で大丈夫なのだろうか。
「鳳凰寺家が私を受け入れるでしょうか?」
そこが一番大事だ。認められなければ、結婚しても意味がない。
「そこは問題ない。鳳凰寺家は家柄より人柄を重視するから」
ならば……大丈夫なのだろうか。
「俺のために引き受けてくれないか」
彼の真剣なまなざしに、気持ちが揺れ動く。
すぐに決めていい話ではない。せめて数日時間をもらって考えるべき。
「迷うな、俺の手を取れ。この選択が間違いじゃないって俺が証明してみせる」
うすうす気が付いていたけれど、私は社長に強く言われると信じてしまう。それは彼の言葉が嘘じゃないと思えたからだ。
結婚なんて自分の人生にはあり得ない出来事だとずっと思ってきた。今だって彼に恋愛感情があるわけじゃない。人生の岐路に立ってじっくり考えるべきだと、心の中でもうひとりの私がストップをかけている。
それでも彼の言葉が私の迷いを吹き飛ばしていき、私は決意する。
「わかりました。でも援助は必要ありません」
母へのお金を援助してもらうのは間違っている気がする。自分のできる範囲でするべきだ。