【試し読み】お隣のハイスペ御曹司は一応、私の夫です~ビジネス婚のはずが旦那様は妻への溺愛が我慢できない~
彼と夫婦になって三カ月。この日のために一番大変だったのは、結婚式の準備や、エステなどの美容ではなく……彼とのスキンシップに慣れることだった。
正直彼の妻の仕事を引き受けると決めたけれど、すぐに彼の愛妻になれるわけではない。
それはそうだ、あくまで仕事でお互いに愛し合っているわけじゃないのだから。
けれど夫となる凌平は違った。私をビジネス妻とすると決めた時から、フルスロットルで愛妻家を演じている。気を抜けば恋愛に不慣れで単純な私は、勘違いしてしまいそうになる。
今も誰も私たちがビジネス婚だとは思わないだろう。
周囲が勧める政略結婚を断り、愛を貫いた夫と、彼に寄り添い溺愛されている妻に見えるに違いない。……私が失敗しなければ。
私は着せ替え人形のようにお色直しをし、その都度凌平に愛でられ――もちろん演技だが、周囲からの生温かい視線に耐える。
披露宴が終われば、人前でここまで〝愛され妻〟を演じる必要はなくなる。
あと少しだ……頑張れ私。
自分を励ましながら、ぐいっと腰を引き寄せてきた凌平に視線を向けてこれ以上ないほどの笑みを浮かべてみせた。