悪魔な義理弟《ボディーガード》~ヤンキー校最凶犬男子の独占欲が強過ぎる~


それから、ようやく体の熱が落ち着いてきて、浴室から出ると、部屋中カレーの匂いが充満していた。

気付けば既に正午を回っていて、俺は髪を乾かした後リビングへと向かう。

ダイニングテーブルには既に四人分のカレーとサラダが用意されており、全員揃ってからお昼ご飯の時間となった。


「今日のカレーうまいな。いつもと味が違うけど」

「うん。初めてトマトカレーに挑戦してみたの。私も予想以上の美味しさでビックリした」

「今度はトマトキーマカレーも作ってみよっか?」

普段と変わらない家族との会話。
今日は親父もいるから、莉子の表情が一段と嬉しそう。
俺は黙々とカレーを食べながら、隣で三人の会話を聞いていた時だった。

「莉子。ここ、ついてる」

ふと視線を前に向けると、向かいに座っていた莉子の口元にご飯粒が付いているのを見つけ、ジェスチャーで場所を教える。

「え?どこ?」

だけど、なかなか拾うことが出来ず、若干苛立ちを覚えた俺は、莉子の口元に手を伸ばしてご飯粒を摘んだ瞬間。指が彼女の唇にあたり、あの時の記憶が一気に蘇ってきた。


「……あ。えと……ありがとう櫂理君」

どうやら、それは莉子も同じだったようで。
ぎこちない笑顔を向けてくると、不自然に俺から視線を逸らし、スプーンを動かした。

再び避けられたことに、またもや傷付くけれど、今はそれどころじゃない。

さっきから莉子の唇ばかり目がいって、食事に全然集中出来ない。

潤んだ小さな唇が動く度に視線を奪われ、少しでも気を緩ませると、そのまま食べてしまいそうになる。

すぐ隣には父親が座っていると言うのに。そんなことはお構い無しにと、俺の頭の中は再び暴走し始めた。
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