御曹司はただの同期のはずだったのに
分かっている。

分かっているから――

私は理人を、小会議室に呼んだ。

ドアを閉めると、静寂が落ちる。

「どうした?こんなところで」

理人はいつも通りの柔らかい声で、テーブルに軽く腰かけた。

そのまま自然に、私の腰に腕を回す。

距離が近い。当たり前みたいに。

「夜だけじゃ足りなくなったか?」

少しだけからかうような声。

「……うん」

思わず、そう答えてしまう。

本当は。こんな時間を、ずっと続けていたい。

「俺もだよ」

理人が、少しだけ真剣な声になる。

「ずっと玲奈と一緒にいたい」

その言葉に、胸が強く揺れる。

(……やめて)

そんなこと、言わないで。

決意が揺らぐ。

理人が顔を近づける。

唇が触れる。

優しくて、離れたくなくなる感触。
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