御曹司はただの同期のはずだったのに
「私は、生活さえ守って頂ければ構いません」

淡々とした口調。

感情が、一切乗っていない。

その言葉の意味を、理解するのに一瞬かかる。

「……何を言ってる」

理人の声が低くなる。

美百合は、まっすぐ理人を見たまま続ける。

「浮気しても、許します」

部屋の空気が、さらに冷える。

まるで、それが当然だと言うように。

「……そういう事じゃない」

理人が、静かに言う。

抑えているのに、はっきりと怒りが滲んでいる。

「あなたは」

理人の視線が鋭くなる。

「愛というものを知らないのか」

その問いに、美百合は少しだけ首を傾げた。

「愛?」

まるで、その言葉自体に意味を感じていないような反応。

理人は、一歩踏み出す。

「愛とは」

ゆっくりと、言葉を選ぶ。
< 129 / 150 >

この作品をシェア

pagetop