御曹司はただの同期のはずだったのに
「親父」

理人の声が、静かに落ちる。

「親父だって、愛する女性と結婚したんだろう」

一瞬、空気が止まる。

社長の表情がわずかに揺れた。

「……俺のことはどうでもいい」

低く返される声。

「どうして」

理人は一歩も引かない。

「立場が違う」

社長の声が、重くなる。

「俺は最初から御曹司ではなかった」

ゆっくりと言い聞かせるように続ける。

「この会社は、俺が立ち上げた」

その言葉には、誇りと重みがあった。

「そして今、おまえの為に、もっと会社を発展させようとしている」
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