御曹司はただの同期のはずだったのに
「ふざけるな!」

社長の怒声が、部屋を震わせた。

「ここまで話を進めておいて、今さら何を言っている!」

机を叩く音。重く、鋭い圧。

けれど。理人は、一歩も退かなかった。

「家を出る覚悟はあるのか」

低く、問いかける声。

怒りの奥にあるのは、最後の確認。

覚悟があるかどうか。

それを試している。一瞬の沈黙。

その中で、理人は迷わなかった。

「ある」

ただ一言。短く、しかし確実に。

その言葉に、空気がさらに張りつめる。

「俺は」

続ける声が、まっすぐに響く。

「親父の七光りで、社長にはならない」

その一言が、父の誇りを真っ向から否定する。

それでも。

理人は止まらない。

「全部、捨ててでも」

わずかに力がこもる。
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