御曹司はただの同期のはずだったのに
「ならば、好きにしろ」

突き放すような言葉。

「その代わり、この家の力は一切使えないと思え」

完全な決裂。父と息子の関係すら、断ち切る覚悟を問う言葉。

それでも。理人は、わずかも揺れなかった。

「構いません」

きっぱりと言い切る。その姿に、もう迷いはない。

すべてを失ってもいい。

それでも、選ぶものがある。

その強さが、そこにあった。

私は、その隣で立っている。

逃げることもできた。

でも、逃げなかった。

この人が、すべてを捨ててでも選んでくれたから。

だから今度は――

私が、この人の隣に立つ番だった。

社長室の扉が、静かに閉まった。

その音が、やけに大きく響く。

振り返らない。

振り返ったら、もう戻れなくなるから。

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