御曹司はただの同期のはずだったのに
静かに、でもはっきりと。

「玲奈のためだけに生きるよ」

その言葉に、胸が強く締めつけられる。

重いはずなのに。

怖いはずなのに。

それ以上に――嬉しい。

「……そんなこと言って」

小さく笑う。

でも、涙が滲んでいるのが分かる。

「後悔しても知らないよ」

強がりみたいな言葉。

でも。理人は、即答した。

「しない」

一切の迷いもなく。

「絶対に」

その目は、まっすぐだった。

揺るがない。

その強さに、もう何も言えなくなる。

私はそっと、理人の胸に顔を寄せた。

鼓動が、すぐ近くで響く。

(……大丈夫)

もう、何もなくてもいい。

この人がいれば。

そう思える自分が、ここにいた。

廊下の真ん中で。

誰に見られてもいい。

そんなこと、どうでもよかった。
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