御曹司はただの同期のはずだったのに
視線が一斉に集まる中、呼吸を整えた。

大丈夫。

ここまでやってきたんだから。

私はスライドを切り替えながら、言葉を紡いでいく。

論理は完璧。数字も揃っている。現場の説得力もある。

――いける。

最後の一言を言い終えた瞬間、胸の奥に確かな手応えが残った。

続いて、理人の番。

彼は資料をめくることもなく、まっすぐ前を見たまま話し始めた。

無駄がない。説明も簡潔で、それでいて核心を突いてくる。

……やっぱり、強い。

悔しいと思うほどに、その完成度は高かった。

プレゼンが終わり、会議室に一瞬の沈黙が落ちる。

やがて役員たちが小声で意見を交わし、結論が出た。

「今回は――東條の案を採用する」

その一言で、すべてが決まった。

「よしっ!今回も俺!」

理人が小さく拳を握る。
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