御曹司はただの同期のはずだったのに
胸の奥が、ぎゅっと締めつけられる。

昨夜の記憶が、断片的に蘇る。

触れられた温度も、名前を呼ばれた声も、すべてがまだ体に残っているみたいだった。

「んん……」

小さく身じろぎすると、理人のまぶたがゆっくりと開く。

「……おはよう、玲奈。よく眠れた?」

低く、穏やかな声。

その自然さに、逆に言葉が詰まる。

「……うん」

頷くのが、精一杯だった。

こんなふうに朝を迎えるなんて、想像したこともなかった。

理人は少しだけ体を起こし、時計に目をやる。

「今日は定時出勤?」

「うん……理人は?」

「俺、朝から親父と面談」

淡々とした口調。

けれど、その一言で一気に現実が戻ってくる。

御曹司。次期幹部。

彼は、私とは違う世界にいる人間だ。
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