御曹司はただの同期のはずだったのに
そのまま、ゆっくりと引き寄せられる。

唇が、重なる。

今度は、昨夜みたいな衝動じゃない。

確かめるような、静かなキス。

それでも、胸の奥は強く揺れる。

離れたくない、と自然に思ってしまう。

視線が重なったまま、どちらも何も言わない。

けれど、それで十分だった。

――私たち、もう。

ただの同期には戻れない。

分かっているのに、不思議と怖くなかった。

むしろ。

この関係を、手放したくないと、初めて思った。
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