御曹司はただの同期のはずだったのに
「今度の企画、参加するだろ」

「ああ、うん」

なんとか平静を装って答える。

声が震えなかっただけ、まだマシだと思う。

理人は軽く頷いて、口元にいつもの余裕を浮かべた。

「今度も負けないからな」

その一言に、周囲の空気がふっと和らぐ。

「出ましたね、いつものやつ」

「またバチバチですね」

同僚たちが笑いながら口を挟む。

「今度は勝たないとですね、玲奈さん」

横から声をかけられて、はっとする。

「……そう、だね」

うつむきながら返すと、自分でも驚くくらい声が弱かった。

(なにやってるの、私)

いつもなら、もっと強く言い返すはずなのに。

理人は、そんな私を一瞬だけ見て、何も言わなかった。

その沈黙が、妙に引っかかる。

「ああ、やっぱりライバルっていいですね」
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