御曹司はただの同期のはずだったのに
同僚もつられて理人の方を見る。

「東條さんってモテますよね」

「御曹司だからじゃない?」

「それだけの理由じゃないですけどね」

軽い会話。いつもの、職場の雑談。

でも。その一言一言が、妙に引っかかる。

(……モテるに決まってるでしょ)

仕事もできて、余裕もあって。

ああやって、誰にでも自然に接する。

そんな人が、モテないわけがない。

分かっている。

頭では、分かっているのに。

胸の奥が、締めつけられる。

視線が、また理人の方へ向く。

女性社員が笑っている。

理人も、少しだけ口元を緩めている。

その光景に、なぜか息が詰まる。

(……やめてよ)

自分でも、何に対してそう思っているのか分からない。

キーボードを打つ手が、わずかに震えていた。

もう、気づいてしまっている。

認めたくないだけで。

私は、初めて。理人に、嫉妬していた。
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