御曹司はただの同期のはずだったのに
会社を出て、少し歩いたところで足が止まる。

見慣れた背中が、街灯の下にあった。

「……なんで待ってるのよ」

呆れたように声をかけると、理人が振り返る。

「今夜も行くって言っただろ」

当然みたいな顔。

「ここ最近、ずっとだよ」

思わず言うと、理人は一瞬だけ目を細めた。

「ずっと一緒にいたいんだよ」

さらりと、何でもないことのように言う。

その言葉に、胸がふわっと緩む。

(……なに、それ)

困るはずなのに。

少しだけ、嬉しいと思ってしまう自分がいる。

「……行こう」

視線を逸らして、歩き出す。

理人が隣に並ぶ。

気づけば、自然と手が触れていた。

そのまま、そっと指を絡められる。

「ちょっと……」

小さく抗議すると、理人は軽く笑った。

「嫌か?」

「……別に」
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