御曹司はただの同期のはずだったのに
否定できないのが、悔しい。

そのまま二人でスーパーに入る。

「今日は野菜が安い」

玲奈がキャベツを手に取る。

「野菜炒めにする?」

「美味しそう」

理人も同じキャベツに手を伸ばして、指先が触れた。

一瞬だけ、視線が重なる。

思わず、ふっと笑ってしまう。

(……何やってるの、私たち)

まるで、普通の恋人みたいな会話。

違うはずなのに。

カゴに食材を入れながら、そんな感覚がじわじわと広がっていく。

会計を済ませて、また並んで歩く。

手は、離れないまま。

やがて、いつものマンションの前に着く。

鍵を開けて、ドアを押す。

「ただいま」

思わず口にしてから、少しだけ恥ずかしくなる。
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