御曹司はただの同期のはずだったのに
コンロの前に立つのは理人。

役割分担も、何も言わなくても決まっている。

「きのこ、入れて」

「はーい」

言われるままに、切ったきのこをフライパンへ入れる。

ジュッ、と音が弾ける。

理人は手慣れた動きでフライパンを返す。

無駄がない。

その動きを見ていると、ふと仕事中の姿と重なる。

(……似てる)

「味付けは?」

「シンプルに塩コショウでしょ」

迷いのない答え。

余計なものを入れない。

でも、必要なところはきちんと抑える。

それは、そのまま理人の仕事のやり方だった。

シンプルで、無駄がなくて、でも確実に結果を出す。

(……ほんと、変わらないな)

そんなことを思いながら、私は味噌汁の鍋に目を向ける。

「味噌汁も作った」
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