御曹司はただの同期のはずだったのに
言葉にならない感情が、込み上げる。

(理人が、他の女と一緒にいるなんて……いや……)

その瞬間、自分で気づいてしまった。

これは、ただの違和感じゃない。

ただの戸惑いでもない。

――嫉妬だ。

はっきりとした形で、胸の奥に広がっていく。

もう、見ていられなかった。

私はその場から、逃げるように背を向ける。

足音を立てないように、それでも早く。

何も聞かなかったことにしたくて。

何も見なかったことにしたくて。

でも。心臓だけが、うるさいくらいに鳴っていた。

――ただの同期のはずなのに。

どうして、こんなに苦しいの。
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