御曹司はただの同期のはずだったのに
理人の表情が、少しだけ変わる。

驚きと――それ以上の何か。

「……玲奈」

名前を呼ばれる。

その声が、近い。

次の瞬間、腕を掴まれた。

「それは、寝る前に……」

いつもの落ち着いた声。

なのに。

「今なの」

言い切る。

「今、欲しいの」

自分でも驚くくらい、はっきりと。

理人の目が、じっと私を見つめる。

その視線が、深くなる。

やがて、ふっと息を吐いた。

「……初めてだ」

低く、少しだけかすれた声。

「こんなにはまった女」

その言葉に、胸が強く鳴る。

次の瞬間、引き寄せられる。

さっきまでとは逆に、簡単に距離がひっくり返る。

「玲奈……」

低く名前を呼ばれて、すべてがほどける。

もう、引き返せない。

理人の腕の中で、強くそう思った。
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