御曹司はただの同期のはずだったのに
理人に抱き寄せられたまま、私はその夜に溶けていった。

互いの距離が、もう分からないほど近い。

触れて、確かめて、求め合う。

気づけば、私が理人の上にいた。

理人の視線を受けながら、私は彼の上に身を預ける。

「理人……」

名前を呼ぶと、すぐ近くで応える声がした。

「ああ……玲奈」

低く、少しだけ熱を帯びた声。

その響きに、胸の奥が強く揺れる。

体を預けるたびに、感情が波のように押し寄せてくる。

(……こんなの)

知らない。

こんなふうに、誰かとひとつになっていく感覚。

理人の動きが少しだけ強くなり、思わず息が漏れる。

見下ろす位置にいるはずなのに、支配されているのは私の方だった。

彼の視線に捕まったまま、動けなくなる。
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