御曹司はただの同期のはずだったのに
私は思わず、もう一度理人の方を見る。

視線が、ぶつかる。

逃げ場がない。

何も言わないのに、圧だけが伝わってくる。

(……なに、これ)

ただの後輩と話しているだけ。

それだけなのに。

空気が、どこかおかしい。

胸の奥が、ざわついたまま落ち着かない。

その視線の意味を、まだ私は知らなかった。

会議室に、いつもとは違う空気が流れていた。

プレゼンが終わり、資料を閉じる音が重なる。

「今回は――鈴木の企画を使おう」

部長の一言で、空気が一瞬止まる。

「やった!」

公太が思わず声を上げて、軽くガッツポーズをする。

その反応に、場の空気が少し和らぐ。

けれど。

「え?東條の企画じゃなくて?」

別の社員が、思わず口にする。

それも無理はない。

今まで、この場で理人が外れることはほとんどなかった。
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