御曹司はただの同期のはずだったのに
休憩スペースは、昼のやわらかい光に包まれていた。

私はいつもの席に座り、弁当の蓋を開ける。

(……よし)

簡単だけど、ちゃんと作った。

こういう小さな節約の積み重ねも、大事だ。

「桐谷さん、お弁当ですか」

声をかけられて顔を上げると、公太がすぐ隣に立っていた。

「ああ、うん。節約にね」

「美味しそうですね」

そのまま、自然に私の隣に腰を下ろす。

距離が近い。

でも、不思議と違和感はなかった。

「俺にも下さいよ」

「はあ?」

思わず笑う。

「ちょっとだけでいいんで」

悪びれもなく言う公太に、私はため息をつきながら箸を差し出した。

「ほら、一口だけだからね」

「やった」

嬉しそうに玉子焼きを口に運ぶ。

「……甘い」

「でしょ」

「いいですね、こういうの」
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