御曹司はただの同期のはずだったのに
さっきまでの疲れが、嘘みたいに軽くなる。

(……なんか、いいな)

そう思った瞬間。

理人がふいに足を止めた。

振り返る間もなく、距離が縮まる。

「……理人?」

呼びかけたその時、顔が近づく。

(……キスされる)

そう思った、ほんの一瞬。

「仲いいですね」

横から声が割り込んだ。

びくっと肩が揺れる。

振り向くと、公太が立っていた。

「公太?」

こんなタイミングで。

理人は一瞬だけ眉をひそめたが、すぐにいつもの表情に戻る。

「ん?ああ、そう見える?」

軽く受け流すような声。

何もなかったように振る舞う。

けれど、公太はその場を離れなかった。

視線が、私と理人の間を行き来する。

「さっきからずっと一緒ですね」

「仕事だからな」

理人が短く返す。
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