御曹司はただの同期のはずだったのに
でも、認めたくない。

「ただの男じゃない!」

理人の声が、初めて強くなる。

そのまま、腕を引かれる。

気づけば、抱きしめられていた。

逃げ場がない。

「理人……」

名前を呼ぶと、さらに強く引き寄せられる。

「おまえを女だって見てた」

耳元で、低く落とされる言葉。

「ずっと前から」

その一言に、息が止まる。

(……え)

思考が追いつかない。

「俺の玲奈なのに」

押し殺したような声。

それなのに、はっきりと伝わってくる。

独占。執着。抑えていたものが、全部溢れている。

「……そんなの」

言葉が続かない。

嬉しいのか、怖いのか、自分でも分からない。

ただ、胸の奥が強く揺れる。

理人の腕が、少しだけ緩む。

でも、離れない。

「他の男に取られるとか、考えたくもない」
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