御曹司はただの同期のはずだったのに
その言葉と同時に、すべてが限界を超えた。

彼の想いを止めるつもりだったのに。

理性なんて、もうどこにもなかった。

強く抱きしめられたまま、逃げ場を失う。

「玲奈……」

かすれた声。

そのまま、すべてを預けるように力が抜ける。

――中で、止められなかった。

「……やっと」

小さく、呟く。

「一つになった気がする」

その言葉に、胸が締めつけられる。

逃げられない。

もう、完全に捕まっている。

理人の腕の中で、そう思った。


腕の中で、ゆっくりと意識が浮かび上がる。

温もりに包まれている感覚。

どこか安心していて、離れたくないと思う場所。

「んん……」

小さく身じろぐと、すぐ近くで声がした。

「起きた?」

低く、やわらかい声。
< 87 / 150 >

この作品をシェア

pagetop