御曹司はただの同期のはずだったのに
その一つ一つが、胸に刺さる。

(……似合ってるよね)

あの人の隣にいるのは、きっとああいう人だ。

私じゃなくて。

そう思った瞬間、胸の奥が小さく痛んだ。

でも、それを認めたくなくて。

私はただ、何もなかったみたいに画面を見つめ続けた。

昼休みの休憩スペースは、いつもと変わらないはずなのに、どこか落ち着かなかった。

私は弁当の蓋を開けて、ぼんやりと中を見つめる。

(……食べなきゃ)

そう思って箸を取るけれど、なかなか手が進まない。

その時。

「桐谷さん」

声をかけられて顔を上げると、公太が立っていた。

「隣、いいですか?」

「……うん」

断る理由もなく、軽く頷く。

公太は自然な動きで隣に座った。

少しだけ距離が近い。

でも、それが嫌だとは思わなかった。
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