狼上司が執着するのは
「手は出しませんよ、そこまで離れた年下は無いです」

「じゃあ藤浪さんって、意外と年上が好きなんですね」

「そうやって色恋沙汰に興味津々の葉山さんは彼氏はいないんですか?」


酔っぱらいのだるい発言も器用にかわす感じ、さすが営業部の課長だと尊敬した。
接待でもこういうだる絡みをされているのだろう。


「怒りますよ、この気性の荒い性格でいるわけないでしょ」

「へえ、もったいない」


ビールジョッキを片手に色っぽく“もったいない”だって?
さては藤浪も相当酔ってるな。同じペースで飲んでるのに顔色まったく変わらないけど。


「そういうリップサービスいりません。だいたい、彼氏いたら課長とサシ飲みなんてしてませんから」

「真面目なんですね、葉山さん」

「真面目っていうか、普通じゃないですか。課長もしかして結構遊んでます?確かに結婚なんて興味なさそうですね」

「そうですね、俺もこんな性格なので」

「あっはは、おもしろいこと言うじゃないですか」


でもあの藤浪が冗談めいたことを言うからやっぱり酔っているのかもしれない。
試しに頭をわしわし撫でると、藤浪は嫌がるどころか目を細めた。

へえ、撫でられるの好きなのか。やっぱり年上が好きなんだな。
酔った勢いで上司の頭を撫でるというとんでもないことを仕出かしているのに、好奇心に負けて手を離すことができなかった。
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