狼上司が執着するのは
「まさか課長と盛り上がって終電を逃すとは……」


その後も私のマシンガントークが滞ることなく、いつの間にか終電を逃してしまった。
性悪男との地獄のサシ飲みの予定が、案外楽しくて私自身が一番びっくりしている。


「俺も意外でした。また飲みましょう」

「はい、ぜひ」


藤浪も楽しかったようで、お互いに次回の約束をする始末。
打ち解けたからか、いつの間にか一人称俺になってるし。

こんなに楽しかったのに来週にはまた喧嘩してるのだろうか。
しかし藤浪の人間らしい部分を知ってしまってはもう真っ向勝負はできない気がする。

血も涙もないパワハラ野郎とばかり思っていたのに。


「葉山さん、タクシー呼びますか」

「金欠なので歩いて帰ります」

「千鳥足じゃないですか。タクシー代出しますから」

「大丈夫です、では」


飲みすぎたけど気分がいいから歩いて帰りたい。
藤浪の制止を振り払って歩き出すと、道端の側溝の蓋の隙間にヒール部分が引っかかって、かくんと膝が折れて転けてしまった。

結果、膝をコンクリに強打してしまい、私は痛みに膝を抱えた。
なにしてるんだ27歳。いい歳こいて恥ずかしい。
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