狼上司が執着するのは
「はい、終わりましたよ。後はマンション前にタクシーでも呼んで大人しく帰ってください」


消毒して大きな絆創膏を貼ってくれた藤浪。
しかし一貫して無愛想で歯に衣着せぬ言い方だから癪に障った。

私の悪癖だ。負けてばかりはいられないから一泡吹かせたくなった。


「よしよし」


突拍子もない行動をとると、どういう反応をするのだろう。
試しに藤浪の頭を撫でてみた。振り払うことはせず、藤浪は驚いて硬直した。


「課長のつむじ、初めて見たかも」

「なんですか急に」

「あれ、照れてます?鬼の毒舌課長もかわいいとこあるんですね」


からかうと、白い目を向けられこれ以上はやめようと手を引いた。
生意気な態度を重ねて口をきいてもらえなくなる前にやめよう。これ以上は仕事に支障をきたす。

ところが藤浪は私の手首を掴み、下から顔を近づけてきた。予想外の反応に、今度は私が驚いてかたまった。

吐息がかかるほどの距離で、藤浪の口がゆっくりと開いた。


「俺を煽ってどうしたいんですか」
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