狼上司が執着するのは
「藤浪課長、この子は入社して半年なんです。すでに発注してしまったならまだしも、あなたが確認して事なきを得たのであればそんなに叱る必要はないと思うんですが」

葉山(はやま)さん、あなたが出てくるとややこしいので首を突っ込まないで下さい」

「これでも彼女は飲み込み早い方ですよ、ケアレスミスでしつこく叱責しないでください!」

「そのケアレスミスが2回目だから直接注意をしたまでです」


上司とはいえ、藤浪との会話はストレス耐久値を軽々超えてきて腹が立つ。

仏の顔も三度まで、でしょうが。
あんたみたいな鬼は2回も許容できないわけ?しかも大勢の前で厳重注意じゃなくて、こっそり2回目ですから気をつけてって言えばいいじゃない!

それをネチネチと説教たらして大人気ない。


「彼女はつい最近まで学生だったんですよ。課長は1年目から完璧に仕事をこなせたんですか?」

「論点がずれてます。そもそもここは学校じゃないんですよ。使えない人間は社会じゃ通用しない。あなたこそ社会人何年目ですか?」

「くっ……」


人の神経を逆撫でするのが上手な藤浪に腹が立って仕方ない。
だがここは反論せず負けて勝て。
藤浪が琴梨ちゃんから興味を失えば私の勝ちだ。

拳を固めて耐えていると、藤浪は私から視線を外し、時計を見てオフィスを出ていった。
おそらくこれから外回りだろう。
ぜひとも今日はそのまま帰ってこないで欲しい。
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