狼上司が執着するのは
とはいえ私の勝ちだ。
あれ以上琴梨ちゃんに被害が及ぶのを防ぐことができた。

私はこうやって藤浪に立ち向かえるから心配無用だけど、震えるほど怯えていた琴梨ちゃんは大丈夫なのだろうか。

人手不足で困ってた時にやっと入ってきた新卒の琴梨ちゃん。
透明感のある美人で、入社当初は営業事務にかわいい子が来たと話題になったほど。
しかも素直でひたむきで頑張り屋で、新卒ガチャ大当たりだと彼女が配属された当初狂喜乱舞した。

だからこそ辞めさせてたまるか。営業30人に対して6人しかいない営業事務の希望と個人的な私の癒しを奪うな!
ただでさえ藤浪が要因で辞めた人が多いから今年から中途を含めて新人を3人抱えてる状況なのに。
頼む琴梨ちゃん辞めないで……。


「むっかつくね、なんなのよあいつ」

「よく噛みつくなあ、尊敬するよほんと」


腕を組んで怒り心頭で振り返ると、それまでデスクにかじりついて素知らぬふりをしていた営業二課の主任が近づいてきた。


「主任、見てたなら琴梨ちゃんのことかばってくださいよ!」

「ごめんって僕に噛みつかないで。後からフォロー入れようと思ってた」

「後からじゃ遅いんですよ!渦中に飛び込んでください渦中に!」

「だから藤浪くん相手にそんなことできるのは葉山ちゃんしかいないんだって」

「部下を庇うのが上司でしょ」


へらへらと笑うビール腹で髪の薄い主任は、数年前藤浪の上司だった。
だから藤浪も、私みたいな年下で立場の低い人間より言うこと聞いてくれそうなのに。

ほんっと、営業部の連中は頼りないやつばっか!
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