狼上司が執着するのは
とは言っても私の発言に影響力があるとは思えない。
私はいくらでも替えのきく一端の営業事務だ。
化学メーカー、徳光化成株式会社に務める私、葉山楓乃子は営業部の営業事務として働いて5年目の27歳。
徳光化成は化学繊維を利用した繊維加工材や、機能性樹脂を主とする機能材を取り扱うメーカー。近年は湿式ポリウレタンレザーを利用した、まあいわゆる合成皮革が、家具や車、航空機の内装に採用されている。
特に藤浪は合成皮革製品の新規開拓営業において、他者の大手企業との競争に勝利し、数々の有名企業との取引を成立させてきた。
現在藤浪は、その功績を認められ新規開拓を主に行う営業二課の課長に就任した。
30歳で今の地位に昇進した叩き上げのエリート。
だから会社は藤浪がいかなる狼藉を働く暴君だろうと追い出せないのだろう。
だけどあの態度はどうにかしていただきたい。
あれじゃ若い子が続かないんだって。
退勤後、意を決して会議終わりの営業部長に相談することにした。
事前にご相談が、との旨でメールでアポ取ったら“まさか葉山さんも辞めるの?”って爆速で返信が来て笑った。
さて、そろそろ会議終わるかな。
会議室前で待機していると各部署のお偉いさんが室外に出ていったから、そっと室内を覗く。
「藤浪くん、君今度は新卒の子泣かせたんだって?」
ところがそこにいたのは円卓の机についたまま書類を整理する部長と、その近くに立って話を聞く藤浪の姿だった。
げっ、藤浪も会議に出席してたのか。
「今はパワハラとかそういったコンプライアンスな問題に世間は厳しいんだよ。なんで時代に逆行してるんだよ藤浪くん」
もしや、あの藤浪が叱られてる?
ということは誰か今日の出来事を部長に報告してくれたのか。
なんだ、営業部も捨てたもんじゃないな。
「これ以上は庇いきれない。続くようなら左遷も考えてるからね」
「申し訳ございません、以後気をつけます」
間違いない、百戦錬磨の藤浪が部長に叱られている。
やーい、お灸据えられてやんの!
私はいくらでも替えのきく一端の営業事務だ。
化学メーカー、徳光化成株式会社に務める私、葉山楓乃子は営業部の営業事務として働いて5年目の27歳。
徳光化成は化学繊維を利用した繊維加工材や、機能性樹脂を主とする機能材を取り扱うメーカー。近年は湿式ポリウレタンレザーを利用した、まあいわゆる合成皮革が、家具や車、航空機の内装に採用されている。
特に藤浪は合成皮革製品の新規開拓営業において、他者の大手企業との競争に勝利し、数々の有名企業との取引を成立させてきた。
現在藤浪は、その功績を認められ新規開拓を主に行う営業二課の課長に就任した。
30歳で今の地位に昇進した叩き上げのエリート。
だから会社は藤浪がいかなる狼藉を働く暴君だろうと追い出せないのだろう。
だけどあの態度はどうにかしていただきたい。
あれじゃ若い子が続かないんだって。
退勤後、意を決して会議終わりの営業部長に相談することにした。
事前にご相談が、との旨でメールでアポ取ったら“まさか葉山さんも辞めるの?”って爆速で返信が来て笑った。
さて、そろそろ会議終わるかな。
会議室前で待機していると各部署のお偉いさんが室外に出ていったから、そっと室内を覗く。
「藤浪くん、君今度は新卒の子泣かせたんだって?」
ところがそこにいたのは円卓の机についたまま書類を整理する部長と、その近くに立って話を聞く藤浪の姿だった。
げっ、藤浪も会議に出席してたのか。
「今はパワハラとかそういったコンプライアンスな問題に世間は厳しいんだよ。なんで時代に逆行してるんだよ藤浪くん」
もしや、あの藤浪が叱られてる?
ということは誰か今日の出来事を部長に報告してくれたのか。
なんだ、営業部も捨てたもんじゃないな。
「これ以上は庇いきれない。続くようなら左遷も考えてるからね」
「申し訳ございません、以後気をつけます」
間違いない、百戦錬磨の藤浪が部長に叱られている。
やーい、お灸据えられてやんの!