悪辣検事は初恋妻をこの手に捕らえて逃がさない。


 勉強は得意ではなかったが、サッカー部ではスタメンとして活躍していた。
 大学もスポーツ推薦で決まり、プロを目指していた。


『永瀬は弁護士目指してるんだろ?』
『そうだが』
『すげーよな!』
『……相田だってプロ目指しているんじゃないのか』
『俺はなれるかわかんねーもん』


 相田にしては珍しくネガティブな言葉だった。


『本当にすごいやつは高校卒業してすぐプロになるんだ。でも俺は無理』
『大学行ってからプロになる選手もいるんじゃないのか』
『まあね。でもさ、何となくわかるんだよ。俺はそこまでの器じゃないんだろうなって』


 そう言った彼の横顔はどこか切なそうだった。


『わかってんだけど、可能性が一パーセントでもあるなら諦めたくねえって思っちゃうんだよな』
『いいんじゃないか』


 頼久はクイッとメガネを押し上げる。


『一パーセントの可能性があるなら諦める必要なんてない』
『……そっか。そうだよな!』


 その後大学でも熱心にサッカーに打ち込んでいた。
 連絡を頻繁に取り合う程ではなかったが、たまに誘われてサッカーの試合を観に行った。

 いつでも相田は全力でプレーしている。
 積極的に攻めて攻めて、チャンスを逃さない。

 いつかプロになることを夢見て、ひたすら努力していた。
 それなのに――、たった一度の事故でその夢は壊された。


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