悪辣検事は初恋妻をこの手に捕らえて逃がさない。
しかし、事態は最悪な方向へと向かっていった。
「被告人、美澄要を有罪とする」
要の裁判での判決は有罪だった。
傍聴席で祈るように判決を見守っていたつかさたち家族の希望は、脆くも崩れ去る。
「違うっ! 俺じゃない! 俺はやってないんだぁっ!」
要は大声で叫び、無実を訴えた。
取り押さえられ、連行されながらもずっと無実を訴え続けていた。
つかさは胸が張り裂けそうになりながら、怒りに震えていた。
(どうして要がこんな目に遭わなきゃいけないの……?)
要の有罪の決め手は、凶器であるナイフに要の指紋が付着していたこと、そして監視カメラの映像に要が映っていたことだ。
ナイフの指紋は遺体に触れた時に付いてしまったものかもしれない。
だが監視カメラの映像はまるで身に覚えがなかった。
犯行時刻、要は秘書室で残業していた。
それなのに社長室からやや慌てた様子で出ていく要の様子が映し出されていたのだ。
要の担当弁護士である岸本は出鱈目な映像だと反論したが、担当検事の関屋は涼しい表情で答えた。
「では犯行時刻に秘書室にいたという証拠はあるのですか?」
秘書室にカメラが設置されているはずもなく、要は一人だったので証人もいなかった。
「秘書室にいたという証明ができないのなら、これこそが被告人が社長室にいたという動かぬ証拠です」
「でも動機が……被告人には殺害の動機がありません」
岸本は苦しそうに反論した。