悪辣検事は初恋妻をこの手に捕らえて逃がさない。


 信じて欲しいと懇願するように見つめられ、不覚にも胸がきゅうっとした。


「信じる、信じます」
「他には? 他に気になることはないか?」
「えっと、高校の時偶然告白されてるの聞いちゃって好きな人がいるって」
「つかさのことだ」


 間髪入れずに即答する。


「他には?」
「もういい……!」


 つかさはだいぶキャパオーバーだった。
 とりあえず今までずっと勘違いしていた上に、内海まりえには騙されていたらしい。

 一人で勝手に嫉妬してモヤモヤしていたのだと思うと、急に恥ずかしくなった。


「……ごめんなさい」
「それは何のごめんだ? 心臓に悪いのだが」
「あ、そういう意味じゃなくて、改めて十二年前の謝罪といいますか……。あの時内海さんから付き合ってるって聞いて、すごくショックで八つ当たりみたいなことしちゃったから」
「ああ……いや、つかさは悪くない」
「ううん、ごめんね」


 改めて謝罪してから、つかさは真っ直ぐ頼久を見つめた。


「私も頼くんが大好きだよ」


 緊張よりもやっと言えた、という気持ちの方が大きい。


「ずっと好きだっ……んっ」


 言い終わる前に唇を塞がれる。数秒触れ合った後、唇はすぐに離れた。
 思ったよりも短くて露骨に物足りないと思ってしまう。


「……その顔はずるくないか?」
「え?」
「つかさの無自覚に煽るところは昔からタチが悪い」


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