悪辣検事は初恋妻をこの手に捕らえて逃がさない。


 頼久はメガネを外す。漆黒の麗しい瞳を直視してドキッとしたと思ったら、先程よりも深く口付けられた。


「ん……っ」


 今度はすぐには離れない。ゆっくりとつかさの唇を味わうかのように。

 舌が唇を撫で、そのくすぐったさに思わず口を開けると呆気なく侵入を許した。
 そのまま濃厚で深いキスがつかさの意識をとろとろに溶かしてゆく。


「んっ、ふぅ……っ」


 キスなんて昨日されたのが初めてで、上手く息の仕方もわからない。
 それでも彼から与えられる熱に酔いしれ、頭がおかしくなりそうだ。

 やっと唇が離れたと思った時には、酸欠になりそうなのに気持ちいいという不思議な感覚だった。


「……えっ?」


 突然つかさの体が持ち上げられた。そのまま頼久は横抱きにしてつかさを運び、自室へと連れて行く。
 掃除の時しか入らない頼久の部屋はベッド、机と椅子、本棚があるだけの質素な部屋だ。

 ベッドの上に降ろされた時は、先に風呂に入っておいてよかったなどと場違いなことを考えていた。
 どこかうつろなつかさの耳を、頼久はかぷりと噛みつく。


「ひゃんっ」
「だから煽るなと言っているのに」


 頼久は着ていた服を脱ぎ捨て、美しくもたくましい上半身が露わになった。
 反射的に視線を逸らしそうになったつかさを逃すまいと、頼久は頬を撫でる。


「君がかわいすぎるのがいけないんだ」
「っ、まって」


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