悪辣検事は初恋妻をこの手に捕らえて逃がさない。


 再び顔が近づいてきたので慌てて止める。


「初めて、なの」


 そう言うと頼久の目が大きく見開かれた。
 つかさは恥ずかしさのあまり、両手で顔を隠す。

 本当は言いたくなかった。三十にもなって未経験だなんて恥ずかしい。
 だけどこの先が未知との遭遇すぎて、怖くて格好つけてなんていられなかった。


「三十にもなって情けないでしょ? 恥ずかしいから顔見ないで……」
「すまなかった」


 すると頼久はパッと起き上がった。


「君があまりにもかわいいから理性を保てなくて……僕の方こそ配慮が足りなくて申し訳ない」
「いや、そんなこと」
「今日はもう何もしないから」
「え……しないの?」


 思わず寂しいという思いが声に出てしまった。
 やめて欲しかったわけではない、むしろ続けて欲しいのに。
 無意識のうちに彼の腕を掴んでいた。


「やめないで……」


 自分でも大胆なことを言っている自覚はある。でもこれが本心なのだ。
 怖い気持ちもあるけれど、それ以上に頼久に触れて欲しい。


「……お願い」
「だから、もう……」


 頼久は大きく溜息をついた後つかさの潤んだ瞳を見つめ、するりとパジャマのボタンに手を伸ばす。


「本当にいいんだな? この先は止まれない」


 つかさがこくりと頷いたのを確認すると、後頭部をグッと固定して唇を貪る。


「んん……っ」


 いつの間にボタンを外したのかパジャマも下着も脱がされ、首筋にちゅうっと吸い付く。


「ひゃっ!」
「かわいい」


< 123 / 157 >

この作品をシェア

pagetop