悪辣検事は初恋妻をこの手に捕らえて逃がさない。
つかさは嬉しそうに微笑む。要はしばらく驚いて言葉を発せなかったが、「そっか」と小さく呟いた。
「おめでとう、姉ちゃん」
「ありがとう」
「旦那さん、どんな人?」
「覚えてないかな? 昔お向かいに住んでた永瀬さんのところの頼くん」
言われた要は少し考える仕草をする。
「メガネかけた仏頂面の人? 弟の方だよね」
「そうだけど言い方……」
「えっ、あの人!? めっちゃ怖そうじゃん」
「怖くないよ」
「俺はめっちゃ怖かったんだよ。お兄さんの方は優しくて何度かお菓子もらったけど、弟の方は何考えてるかわかんなくて怖かった」
「あんた餌付けされてたの……。不器用なだけですごく優しい人なんだから」
「えーマジかぁ」
要は目をまんまるにする。いつも面会に訪れても要は元気がなくて、笑っていてもどこか暗かった。
だけど今は家にいた頃と同じような空気感で話せている。
やっと要らしい要が見られた気がして安心したし、嬉しくなった。
「彼ね、今検事さんなの。要の事件を再捜査しようと動いてくれてる」
「そうなの?」
「きっと要の無実を証明してくれるからもう少しだけ待っててね」
「姉ちゃん……ありがとう」
要は目に涙を浮かべながら言った。
「姉ちゃんの花嫁姿を見たいって思ったら頑張れるよ」
「うん、要にもちゃんと見届けて欲しい」