悪辣検事は初恋妻をこの手に捕らえて逃がさない。


 こんなにも晴れやかな気持ちで刑務所を出たのは初めてだった。

 何もかもに絶望して生きる気力を失いかけていた要が、前向きになってくれている。
 自分も頑張ろうとつかさは気持ちを新たにした。


「あれ、頼くん?」


 帰りに甘いものでも食べて帰ろうと思ったら、とあるカフェに頼久らしき人影を見つける。
 近寄ってみたら頼久本人だったので声をかけようと思った。

 だが、頼久が一人ではないと気づき息を呑む。
 彼の目の前に見知らぬ女性が座ったのだ。
 誰だろうと気になり、思わず隠れてしまった。

 はっきりと見えるわけではないが、茶髪の髪の長い女性だった。
 雰囲気からして美人であるとわかる。


(いや、待って。もしかしたら仕事の関係者かもしれない)


 ついこの間長い誤解が解かれたばかりだ。
 今会っている相手も仕事の関係者で、邪魔をしては申し訳ないかもしれない。

 そう思い直したつかさは、カフェには入らず立ち去った。
 切り替えて別のカフェに入ったらそこで食べたハロウィン仕様のカボチャと紫芋のケーキがあまりにも美味しくて、さっき見たもののことなど忘れてしまった。

 これが嵐の始まりだとは気づいていなかった。


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