悪辣検事は初恋妻をこの手に捕らえて逃がさない。
翌日、在宅ワークをしているつかさに見知らぬ電話番号から電話がかかってきた。
誰だろうと思いながら電話に出てみる。
「はい、もしもし」
《美澄つかささんのお電話番号でお間違いないかしら》
声の主は声が高めの女性だった。
「そうですが……」
《お久しぶりです。私、内海まりえといいます》
「ええっ!?」
思わずスマホを落としそうになった。
信じられずに聞き間違いかと思ったが、電話越しにまりえはフフッと笑う。
《その様子だと覚えていてくださっているようね》
「私に何の用ですか?」
《聞いたわよ。永瀬くんと結婚したそうじゃない》
怯んではダメだと一呼吸置いてから答えた。
「はい」
《せっかく忠告してあげたのに図々しくも結婚するなんて。意外と図太いのね》
「堂々と嘘ついた人に言われたくありませんけど」
もう彼女の話は鵜呑みにするものか、と気丈な態度を崩さない。
《あら、あれはあなたのためを思っての嘘でもあったのよ? 今となってはそんな昔話、どうでもいいのだけれど――今弟さん、大変よね》
急に要の話を出され、咄嗟に反応できなかった。まりえは続ける。
《知ってるのよ。あなた弟の事件を再捜査するために永瀬くんと結婚したのでしょう》
「それは」
《別の証拠をでっちあげてでも他の人を犯人に仕立て上げ、弟を無罪にしたいのかしら?》
「違います!」