悪辣検事は初恋妻をこの手に捕らえて逃がさない。
要は無期懲役と判決を下された。
控訴すると岸本は言ったが、苦々しい表情をされた。
「あの関屋成史検事は東京地検のトップ・関屋剛造検事正の息子なのです。父親の権力を振りかざし、好き放題していると噂で……」
岸本は中小規模の弁護士事務所で雇われている。
「楯突いたらどうなるか……。それに提示された証拠品は確かなもののようでした」
「でも要は無実なんですよ!?」
「ですから、何とかして最善を尽くしたいと……」
岸本の言う最善を尽くすとは、無期懲役から刑期を軽くするという意味だ。
無罪判決を勝ち取るという意味ではない。
(要はやっていないのに、どうして……っ)
殺人犯の烙印を押された要は当然会社は解雇になった。
そればかりでなく、みすみ梨園も殺人犯が作っている梨だとSNSに書かれることになった。
ある日、カフェの壁にペンキで「殺人鬼を生んだ家」と書かれていた。
梨園では梨がグチャグチャに荒らされていた。
つかさは絶望した。何故こんな酷いことができるのだろう。
要は無実なのに誰も信じてくれず、家族まで攻撃され、これまで大事に育ててきた梨さえも潰されて。
芯は整体院を辞めることになった。
やんわりとお客様から苦情がきている、と言われたらしい。
何故こんな思いをしなければならないのだろう。
誰も何も悪くないというのに。