悪辣検事は初恋妻をこの手に捕らえて逃がさない。


「もしもしお母さん?」
《つかさ、大変なの。おじいちゃんが階段から落ちて怪我をして今病院に――》
「ええっ!?」
《多分骨折したみたいで今手術してもらっているところよ》
「大丈夫なの?」
《命に別状はないけど、どうも誰かに押されて突き落とされたみたいなの……》
「何それ!」


 つかさの肝が一気に冷えると同時に怒りが込み上げてきた。


「誰がそんなことを!」
《わからない。まだその辺りの詳しい話をおじいちゃんから聞けてないのよ》
「病院はどこ? 私もこれから向かう」


 自宅から一番近い総合病院に運ばれたと聞き、詳細は追って直接聞くことにして急いで家を出る準備をした。
 頼久に改めて連絡しようとしたところで、ショートメッセージを受信する。全く知らない番号だった。


【永瀬頼久とは別れろ。次はお前の夫を突き落とす】


 そのメッセージを読んだ瞬間、全身に鳥肌が立つ。


(もしかして、おじいちゃんを突き飛ばしたのはあの人……?)


 偶然とは思えないタイミングだ。犯人がもしまりえなのだとしたら、次は頼久を狙っているということ。
 いや、他の家族にも危害が及ぶ可能性もある。考えただけで血の気が引いた。

 つかさは震えながらスマホをしまい、自宅を飛び出した。
 とにかく今は祖父の元に一秒でも早く駆け付けようと思った。


< 131 / 157 >

この作品をシェア

pagetop