悪辣検事は初恋妻をこの手に捕らえて逃がさない。


「――最後の一杯はウイスキーでよろしいですか? 関屋検事正」
「な……っ! 何故お前が!」


 カウンターに現れたのは、なんと頼久だった。
 頼久はウイスキーのボトルをドン! と関屋の目の前に置く。

 その直後、階段から慌ただしい足音が聞こえたかと思うと大柄で無精髭を生やした五十代くらいの男性と二十代くらいのポニーテールの女性が現れた。
 二人は関屋を取り囲み、男性が関屋の手首に手錠をかける。


「関屋剛造、強要及び脅迫の容疑で現行犯逮捕する」
「なぁ……っ!」


 関屋は暴れようとするが、二人の刑事にがっちりと押さえられた。
 更に階段からもう一人若い男が降りてくる。


「どーも検事正。俺のこと知ってますか?」
「お、お前は永瀬の……!」
「おっ、光栄ですね〜。今の会話は最初から最後までバッチリ録らせていただきましたからね!」
「なんだと……っ」


 つかさは何が起きているのか全くわからない。
 だが気づいたのは、この三人は先程バーの一階にいた客だということだ。
 どうやら全員頼久の味方だったらしい。

 先程までとは完全に風向きが変わり、関屋は苦虫を噛み潰したような表情で頼久に怒鳴った。


「貴様! 一体どういうことだ!」
「それはこちらの台詞だ」


 頼久は冷酷な瞳で関屋を見据える。


「僕の妻への強要、脅迫。それ以外にもあなたの犯してきた罪はわかっている。絶対に逃がしはしない」


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