悪辣検事は初恋妻をこの手に捕らえて逃がさない。
開いた口が塞がらないとはこのことだ。
なんと店ごと六条グループが買収していたらしい。
「このバーの経営者に金を渡し、あなたが良からぬ話をする時に使っているのは知っていた。監視カメラや盗聴器が仕掛けられていることもな。だから逆に利用させてもらった」
「永瀬、貴様……っ!」
「権力にものを言わせていたのはあなただ。ならばこちらも手段は選ばない」
頼久は関屋に引導を叩き付ける。
「――もう終わりだ、関屋剛造」
関屋は歯軋りをし、喚きながらも刑事たちに連行されていった。
関屋の姿が見えなくなってから、頼久がカウンターを飛び越えてつかさを抱きしめる。
「つかさ!」
「っ、頼くん……っ」
頼久に抱きしめられた瞬間、つかさの涙腺が崩壊する。
「わたし……っ、ごめんなさい……っ」
「何も言わなくていい。無事でよかった」
頼久は泣きじゃくるつかさの頭を撫で、強くも優しく抱きしめる。
しばらく頼久の胸の中で泣き続けたが、少しずつ落ち着いてきた。
「怖い思いをしたな」
「……うん……っ」
「もう大丈夫だ。要くんも心配ない」
「頼くん、ごめんね……私……」
「全部わかってる」
「どうして……?」
「わかるに決まっているだろう? 何年君を見てきたと思っているんだ」
その言葉に再び涙が溢れた。